こんにちは、ONEGAME八千代台のサービス管理責任者、かまちゃんです。
福祉の現場で30年以上働いてきた経験から、
今日は「精神障害者の権利と福祉」というテーマでお話ししたいと思います。
精神障害と向き合う人々の現実
精神障害は目に見えない障害です。そのため、周囲からの理解が得られにくく、当事者の方々は日々様々な困難に直面しています。「頑張れば治る」「気の持ちよう」といった言葉をかけられることも少なくありません。しかし、精神障害は単なる気分の問題ではなく、れっきとした障害なのです。 私がこの業界で長年働いてきて痛感するのは、精神障害に対する社会の理解不足です。統合失調症、うつ病、双極性障害、発達障害など、様々な精神障害があり、それぞれに特性があります。その特性を理解し、適切な環境を整えることで、誰もが自分らしく生きることができるのです。
心に寄り添う福祉の本質
福祉の仕事は、ただサービスを提供するだけではありません。その人の心に寄り添い、一人ひとりの物語を大切にすることが何より重要です。ONEGAME八千代台では、利用者さん一人ひとりの声に耳を傾け、温かく見守る環境づくりを心がけています。 私自身、辛い時期を乗り越えてきた経験があります。だからこそ、悩みや不安を抱える方の気持ちが理解できます。「どんな小さな悩みでも遠慮なく話してください」これが、私たちの施設の基本姿勢です。
精神障害者の権利とは
精神障害があっても、一人の人間として尊重される権利があります。しかし、現実には差別や偏見に苦しむ方が多いのが実情です。
精神障害者の基本的な権利には以下のようなものがあります、 ・地域社会で生活する権利 ・就労の機会を得る権利 ・医療を受ける権利 ・プライバシーを守られる権利 ・自己決定の権利 これらの権利は、障害者権利条約や障害者基本法などで保障されています。しかし、法律で定められていても、実際の社会生活の中では十分に保障されていないケースが多いのです。
就労継続支援B型事業所とは
ここで、私たち「ONEGAME八千代台」のような就労継続支援B型事業所の役割について少しお話ししましょう。 就労継続支援B型事業所は、一般企業などで働くことが困難な障害のある方に、働く場を提供する福祉サービスです。ここでは、それぞれの障害特性に合わせた業務内容や環境を整え、無理なく働きながら工賃を得ることができます。 ONEGAME八千代台では特に、ご利用者さんの「好き」や「得意」を大切にし、個性を活かせる多様な作業内容を用意しています。「無理せず、でもちょっとだけ挑戦してみる」そんな場所を目指しています。
私の30年の経験から見えてきたこと
私が福祉の現場で30年以上働いてきて、最も大切だと感じることは「その人らしさを尊重すること」です。 かつて私が関わった一人の利用者さんの話をします。Aさんは統合失調症を抱え、幻聴や妄想に苦しみながらも、絵を描くことが大好きでした。一般企業での就労は難しく、引きこもりがちだったAさんですが、就労継続支援B型事業所に通い始めてから少しずつ変化が現れました。 最初は週に1回、それも2時間程度しか通えなかったAさんが、半年後には週4日、1日4時間働けるようになりました。彼のイラストがある企業のキャラクターに採用されたときの喜びの表情は今でも忘れられません。「自分にも社会の役に立てることがある」という自信を取り戻したAさんは、今では後輩の指導も行っています。彼の変化を見て、私は改めて「働くこと」の意義を考えさせられました。それは単にお金を稼ぐだけでなく、自己実現や社会とのつながりを実感できることなのです。
ONEGAME八千代台の特徴
ONEGAME八千代台では、一人ひとりの個性を大切にした支援を心がけています。私たちが大切にしていることをいくつか紹介します。
① 個性を活かせる多様な作業内容
当事業所では、様々な作業を用意しています。ゲーム関連の作業はもちろん、デジタルイラスト制作、シナリオライティング、プログラミング、音楽制作といったデジタルコンテンツに関わる作業から、自然と触れ合える農作業まで、幅広い選択肢があります。 特に農作業では、近隣の農家さんと連携し、季節の野菜の栽培や収穫を体験できます。土に触れる感覚が心を癒し、成長する植物を観察することが心の安定につながるという利用者さんも多くいらっしゃいます。収穫した野菜は地域のマルシェで販売したり、ご家族に持ち帰っていただいたりすることもあります。 このように、室内作業が苦手な方や、自然の中で体を動かしたい方にも合わせた環境を整えているのが私たちの強みです。
② 利用しやすさを重視した時間設定と送迎サービス
ONEGAME八千代台の利用時間は10:00〜15:00となっています。この時間設定には明確な理由があります。 まず、朝の時間帯は精神障害のある方にとって特に調子が整いにくい時間であることが多いという現実があります。薬の副作用で朝起きるのが難しい方、朝は体調が優れない方が多いことを考慮し、無理なく通所できる10時スタートとしています。 また、終了時間を15時としているのは、帰宅後のご本人の生活リズムを大切にするためです。疲れすぎず、家に帰ってからの時間も充実させていただきたいという願いがあります。 昼食は各自でご用意いただいています。これは、一人ひとりの食事の好みや制限が異なることを尊重し、また、将来的な自立に向けて食事の管理をご自身で行っていただく機会としても大切にしているためです。 送迎サービスを行っているのは、交通機関の利用に不安を感じる方や、人混みが苦手な方でも安心して通所できるようにするためです。また、天候や体調に左右されず、継続的に通所していただくための大切なサポートだと考えています。送迎時間も無理のないように調整し、一人ひとりの生活環境に合わせた対応を心がけています。
③ 親身な相談体制
私たちONEGAME八千代台の大切にしていることの一つに、利用者さん一人ひとりに寄り添った相談体制があります。「かまちゃんに話を聞いてもらったら、気持ちが楽になった」「初めて自分のことを理解してもらえた気がした」そんな声をいただくことが、私にとって何よりの喜びです。 精神障害を抱える方は、日々の生活の中で様々な不安や悩みを抱えています。就労のことだけでなく、生活面、対人関係、将来への不安など、どんな小さな悩みでも遠慮なく相談できる環境を整えています。 スタッフは全員、精神障害への理解を深めるための研修を定期的に受けており、専門的な知識を持ちながらも、温かく、親しみやすい対応を心がけています。
利用者さんの声
ここで、実際に当事業所を利用されている方々の声をいくつかご紹介します。 「以前は家に引きこもりがちだったけど、ONEGAME八千代台に通うようになってから、生活のリズムが整いました。何より、同じような悩みを持つ仲間と出会えたことが大きな支えになっています。かまちゃんは本当に親身になって話を聞いてくれて、いつも励ましてくれます。送迎があるので、調子が悪い日でも無理なく通えるのがありがたいです。」(30代・女性)
「僕はイラストを描くのが好きで、ここではその好きなことを仕事にできています。自分の描いたイラストが商品になったときは、本当に嬉しかったです。農作業もやっていて、気分転換になります。体を動かした後は気持ちがすっきりして、また創作に集中できます。10時からの時間設定も、朝が苦手な僕にはちょうどいいです。」(20代・男性)
「私は人と話すのが苦手で、最初は毎日通うのも不安でした。でも、かまちゃんをはじめスタッフの皆さんが無理強いせず、ゆっくりペースに合わせてくれたおかげで、今では週4日通えるようになりました。何か困ったことがあると、すぐに相談できる環境があるのは本当に心強いです。」(40代・女性)
精神障害と共に生きる人々へのメッセージ
私の30年の福祉経験から、精神障害と共に生きる皆さんにお伝えしたいことがあります。あなたの障害は、あなたのすべてではありません。あなたには、他の誰にもない個性や才能があります。それを見つけ、伸ばす環境に身を置くことで、人生は大きく変わる可能性があります。 私はこれまで数百人の障害者の方々と関わってきましたが、皆さん一人ひとり異なる個性や能力を持っています。「できないこと」に目を向けるのではなく、「できること」「好きなこと」に焦点を当てることで、新たな可能性が広がっていくのです。 辛いときは一人で抱え込まず、誰かに話してみてください。話すことで気持ちが整理され、新しい視点が見えてくることもあります。私たちは、そんなあなたの話に耳を傾け、共に考え、共に歩む存在でありたいと思っています。
家族や支援者の方々へ
精神障害のある方を支える家族や支援者の皆さんも、様々な不安や悩みを抱えていることと思います。「これでいいのだろうか」「もっと何かできることはないか」そんな思いを抱えながら日々過ごされていることでしょう。 私たちは、利用者さんだけでなく、ご家族や支援者の方々の相談にも積極的に応じています。月に一度の家族会では、同じ立場の方々との交流や情報交換の場を設けています。また、個別の相談にも随時対応していますので、お気軽にご連絡ください。 支える側の皆さんが元気でいることが、何よりも大切です。一人で抱え込まず、私たちも一緒に考えていきましょう。
一日のスケジュール例
ここでは、ONEGAME八千代台での一日の流れをご紹介します。
9:30〜 送迎車で各自ピックアップ
10:00 朝礼(体調確認、その日の予定確認)
10:15 ラジオ体操(心と体をほぐします)
10:30 午前の作業開始(ゲーム制作、イラスト制作、農作業など)
12:00 昼食・休憩(各自持参)
13:00 午後の作業開始
14:30 振り返りの時間(その日の作業の振り返り、明日の予定確認)
15:00 終了・送迎開始
※このスケジュールは目安です。利用者さんの体調や状況に合わせて、柔軟に対応しています。無理なく通えることを最優先しています。
精神障害と共に生きる社会へ
精神障害に対する偏見や差別をなくすためには、社会全体の理解を深めることが不可欠です。私たちは、地域社会との交流イベントや啓発活動にも取り組んでいます。 例えば、年に2回開催する「ONEGAMEフェスティバル」では、利用者さんが制作したゲームや作品を展示し、多くの地域の方々に来場いただいています。また、農作業で収穫した野菜を使った「ハーベストマーケット」も季節ごとに開催し、地域の方々との交流の場となっています。 これらのイベントを通じて、精神障害者の方々の才能や可能性を知っていただく機会を創出しています。「障害」ではなく「個性」として理解が広がることを願っています。 また、地元の学校や企業との連携も進めており、出前授業や障害理解のためのワークショップなども行っています。精神障害への理解は、実際に当事者と関わることで大きく深まります。
見学について
「どんな所だろう?」「自分に合っているかな?」と気になる方は、見学も受け付けています。見学では、実際の作業風景を見学できるだけでなく、利用者さんやスタッフとの交流も可能です。緊張されている方には、まずは私「かまちゃん」と個別にお話しするところから始めることもできますので、安心してお越しください。 そして不安なことや分からないことがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。私たちは一人ひとりに寄り添ったサポートを心がけています。「まだ決められない」「もう少し考えたい」そんな気持ちも大切にしながら、あなたのペースで進めていきましょう。
最後に:共に生きる社会を目指して
精神障害があっても、自分らしく生きられる社会。それは決して夢物語ではありません。一人ひとりの理解と行動が、社会を少しずつ変えていくのです。私たちは、精神障害のある方々の「働く」を通じた社会参加を応援し、すべての人が互いを認め合い、共に生きる社会の実現を目指しています。 あなたの「好き」を「仕事」に。あなたの「個性」を「強み」に。そして何より、あなたの「今日」が少しでも明るくなるよう、私たち一同、温かい心でお待ちしています。
勇気を出して、まずは一歩踏み出してみませんか?その一歩を、私たちがそっと支えます。あなたの笑顔に会えることを、心から楽しみにしています。
【施設情報】
施設名: ONEGAME八千代台 (就労継続支援B型事業所)
住所:千葉県八千代市八千代台北1丁目9-9
電話:043-400-3223
メール:contact@tlife-chiba.com
営業時間:平日10:00〜15:00(土日祝休み)
アクセス:八千代台駅西口から徒歩2分 送迎:あり(要相談)
ブログをお読みいただき、ありがとうございました。精神障害と福祉について、少しでも理解が深まれば幸いです。